福井県(カニ県)にいると言われる妖怪一覧

  • ウミアマ

海の怪。海海女。坂井郡雄島村安島。一人で潜っている時などに出る。大勢いるときは出ない。海女があがるとウミアマが潜り、海女が潜ると相手はあがる。後ろ鉢巻きの姿のみ見えるという。

 

  • ガキ

道の怪。ヒダルともいう。石徹白村。シナノキの下にいた。その下を通るとさもしい気持ちになる。その時はツバをはくとよい。

 

  • カッパ

水の怪。河童。三み方かた郡美浜町─五、六歳の下げ髪の男の子だという。牛の尻子玉を抜こうとして失敗、詫びて、毎朝、魚を届けていたが、鹿角の代わりに大きな鉄の鉤をつるしたら来なくなった。坂井郡長の畝村──農家の美人の嫁が毎夜、平岩の岸にある柳の木にしがみついて「おのれらに負けんぞ」と力んでいた。夫がひきはがそうとしたが、すぐは無理なほどだった。嫁は見る見る衰弱したが、これは河童に魅入られたからだという。

 

  • キツネノカイ

動物の怪。狐の怪。貞享の頃、越前の太守が三日三晩の大狩をした。狐の長は先手の役を務める熊谷安左衛門の許に現れ、一族の助命を乞うた。一族の印は尾の先が白いことだという。太守に申し上げ、尾の白い狐だけは許すことになった。のち熊谷が浪人すると狐は恩に報いるため江戸まで付いてきたという。

 

  • クビキレウマ

動物の怪。首切れ馬。神様が乗って、または馬だけ、あるいは馬の首だけが飛びまわる。

 

  • タヌキノカイ

動物の怪。狸の怪。石徹白村。焼畑の小屋に籠もって山仕事をしていた男が、褌もせず、大きなフグリを出したままある晩寝ていると「大きいやつじゃのう」と見知らぬ男が入ってきた。「ねぶれよ」と言うと、この男も大きなフグリを出した。九字(護身のまじないの一つ)をきって岩屋に閉じ込めると、以後、出なくなった。狸が道で衾を張るとむこうへ行けなくなるといい、家の前の梨の木からクルワ(濡れた稗や粟を干す時に使う。桶形で底が網のようになっている)を下げたともいう。

 

  • テングダオシ

山の怪。天狗倒し。石徹白村。しんとした山中で木を伐る音がし、ザザンと木の倒れる音がする。あたりの木がゆらぐ。鷹などがスーッと風を切る音と似ていることがある。天狗にあうとヨキ(小斧)を捨てて帰るとよい。これを天狗のステヨキという。

 

  • ニンギョ

海の怪。人魚。御浅明神の使者という人魚は頭は人で襟えりに鶏冠とさかのようにひらひらする赤いものがあり、その下は魚である。乙見村の漁師が櫂かいで打ち殺し海に投じると、大風が起こり海鳴りが十七日続いた。三十日ばかり過ぎて大地震が起き、御浅嶽の麓から海辺まで地が裂け、乙見村一郷がおちいった。

 

  • ビシャガツク

道の怪。坂井郡でいう。冬の霙雪が降る夜道を行くと、背後からビシャビシャと足音が聞こえる。

 

  • ミノムシ

火の怪。坂井郡。雨の晩に野道を行くと、傘の雫の大きいものが正面に垂れ下がる。手で払おうとすると脇に退き、やがてまた大きい水玉が下がり、しだいに数を増して目をくらます。狸の仕業とされ、大工と石屋には憑かないという。

 

  • ロクロックビ

家に居る怪。轆轤っ首。敦賀の原家で臨時に雇った女がロクロッ首だったという。夜更けて、うめき声で目覚めた家人がその女の寝室を覗くと、女の首が結髪のまま?びよう風ぶを一、二尺ずつ登っては下り、登っては落ちていた。ついに屏風を越えて女の寝ている内に入ると、女のうめき、襲われる声が聞こえたという。喜多郡─さはやという野で男がにこにこと笑う女の首に会った。脇差しで切りつけると逃げたので後を追うと、府中の町上市のとある家に入った。門から中のようすをうかがっていると、その家の女房が「いま夢でさはやの野にいったが、男が私を切ろうとしたので、ようやくここまで逃げてきた」と話しているのが聞こえた。若狭─夜更け、高塀の上から親しい侍に笑いかけた。これも本人は夢であったと信じていたが、諭さとされて髪を落としたという。